2010年11月26日金曜日

インフォグラフィックスワークショップ3

2010.11.20
インフォグラフィックスワークショップに行ってきました。

ワークショップ全体の流れを振り返りつつ、自分の制作の反省をしたいと思います。


テーマは『麹町を時間旅行する』
募集時にテーマが与えられていて、参加者は事前準備をして、麹町の「通またはオタク」になっていることが条件。

当日まで現地に行けないので、インターネットや図書館などで調べて、
「時間旅行」という漠然とした課題に、ある程度自分なりの答えを出した上で参加しました。(申し込みから当日まで20日間ほどありました)

持って行ったラフがこれ。
「麹町」という名前に着目し、その由来にはいろいろな説があるが、やはり「麹」が原点ではないかということを、近年発掘された江戸前期の麹室(こうじむろ)の形状と「麹」の文字を使って表現できないかと考えたもの。

調べて行くうちに「麹室発掘の歴史」が面白くなってしまって、テーマが広がりすぎている状態。「歴史」ではあるが、「時間旅行」と言えるのか?…という問題も。


デザイン系のワークショップというものに参加するのは初めてだったので、要領が掴めないまま、かなり緊張した状態で臨みました。

会場は、麹町の中心にある、KDDIウェブコミュニケーションズのおしゃれなセミナールーム。勝手にかっこいいデザインが生まれてきそうな錯覚に陥ります。


参加者はそれぞれ持って行ったラフを提出し、講師の方々がそれをもとにグループ分けをします。
A〜Dの4つのグループに分かれました。私はDグループ、どうやら歴史を切り口にした人の集まりのようでした。



9:45〜10:15
 
グループディスカッション
グループ内で、それぞれ持ち寄ったアイデアを説明し、意見をもらいます。

グループの人のアイデアが、私が事前に考えていたことと近かったので、
いろいろ考えていた事をぽんぽんと言ってしまったのですが、もう少し考えて発言すべきだったかなと思っています。
つい、面白いと思ったことがあると、言わずにはおれないのですが、
「相手にとって必要な情報かどうか」という視点はもっとあって良かったように思います。


10:15〜14:00
フィールドワーク→説明用ラフ作成

フィールドワークは普段の仕事でほとんどやらないプロセスなので、
何をするのか、どこに気をつけたらいいのか、まったくわからない状態。
それでも事前に調べて見たかった場所に、とりあえず足を運んでみます。

ひとつは、江戸時代からある平河天満宮

最初に「狛犬の眼から見た麹町の変化」というアイデアを考えていたので、そちらの表現の可能性もこの時点では残っていました。
グループの他の方の参考にもなるかと思ったのですが、何より自分が見たかった。
満足はしたのですが、アイデアにつながる発見はなく、時間の限られたフィールドワークのやりかたとしては??
この後も「あの階段登ってみたい!」などの理由でコースを決めるなど、目的を見失いがちでした…

もうひとつ見ておきたかったのが、調べてきた「麹室」の発掘現場。
上智大学を抜け、紀尾井ホールの前に、「尾張名古屋藩屋敷跡」の石碑と看板を見つけました。が、ほかにはまったく痕跡がありません。



しかしその先でちょっとした発見が!


「ハウス食品株式会社」
なぜ、これが発見なのか。実は事前に調べていた発掘調査報告所を出していたのが、この会社だったのです。
発掘などの研究に投資している会社なのかと思っていたのですが、社屋を建てる際に出てきたのですね。
何となく、これはカギになるかも…という感触を得られました。

セミナールームに戻って、フィールドワークやミーティングで得た事をもとに、再度デザイン案を練り直します。
私の場合、最初の案では「時間の流れ」が入っていないが、


麹室の発掘された場所が現在は食品会社が建っている
   ↓
町人地から徳川幕府によって拝領された場所が、ふたたび現代の町人地(食品会社)になっている

という流れが見えてきました。

しかし、その表現が難しい…。時間や紙面の大きさがあればともかく、
短時間で手描きで表現できる内容なのかという不安もあり、アイデアが固まらないまま次の段階へ。




14:15〜15:00
他のグループとのディスカッション

講師の方にタイムキープをしていただいて、1人5分の持ち時間を、1分説明、4分で相手のグループの人に意見を言ってもらいます。

ところがこのとき、頭の切り替えがうまくできておらず、自分の表現の問題点でいっぱいになってしまっていました。
相手グループの方の説明がうまく頭に入ってこず、有効な意見を言うことができなかった。これは本当に心残りで、申し訳なく思います。

自分が説明する段となっては、問題点(=伝わらない点)を言葉で補ってしまい、
せっかく質問をして下さった方にも、言葉で必死に説明するあまりに、ほとんど自分で喋って持ち時間を使ってしまいました。
質問そのものがヒントであり、さらなる気付きを引き出す流れをつくるべきだったと気付いたのは、全部が終わってからです。

せっかくのアイデアの転換になるかもしれない機会を生かせなかった、
この段階に、私の今回の敗因と、ふだん制作をする上での弱点が、たくさん詰め込まれていたように思います。

15:00〜16:10
最終デザイン制作

ディスカッションを経て固まった案をもとに、最終デザイン制作。

私は、皆が黙々と手を動かすなか、完全に迷走します。
アイデアがどれも面白い気がして手放せず、それらを詰め込む方法をまだ探していて、どんどん時間がなくなっていく…

今思うと「文字の形を使う」「名前の由来」「麹室跡地→ハウス食品」と、
表現する技量がないわりに、入れたい要素が多すぎました。

最終的に、フィールドワークで得た気づきは捨てて、最初のアイデアに戻ります。
講師の方にいただいたアドバイスで、「町名の由来」に焦点を絞ることができました。
この中に「時間の流れ」の要素をどう入れるか…というところで時間切れ。
今思えば、せめて「麹町の由来」というタイトルだけでも入れておくべきでした。

これでは、何のことだかさっぱりです…orz


 16:30〜18:30
発表→投票→プレゼン→講評

貴重なたった1票を選ぶため、皆さんの作品をじっくり見るのですが
うまくできなかった後悔があり、なかなか自分の作品から頭が離れません。
そんな中、すっと頭に飛び込んできて、思わず笑ってしまったのがこの作品。
「時間旅行」を人のメタモルフォーゼで表現するなんて、考えもおよびませんでした。
さすが、講師の方の作品でしたが、私はこの作品に1票を投じました。

(…なんと、私の作品にも1票入れて下さった方が!ありがとうございますーーー!)

投票が終わって、上位の方の発表。ダントツで1番だったはこちらの方。
テーマに沿っている、コンセプトがはっきりしていてキャッチー、そして読者や媒体がイメージできる。
最初の段階でかなり作り込んできたものを、人の意見を取り入れて潔く変化させた過程。
アイデアの変化はあっても、コンセプトはぶれていないのがポイントでしょうか。

他の上位の方のプレゼンでも思ったのですが、みんなはっきりと目的意識を持ってフィールドワークに出て、
ただ歩くだけでなくインタビューをしたり、博物館に行ったりという調査をしている。
今思うと、能力、時間的な限界を考えても、最初にコンセプトはしっかり絞っておかないといけませんね。 


★コンセプトの絞り込みについて。

ワークショップの最初のプチ講義で、
コンセプトは「大黒柱」、コンセプトがなくてアイデアだけだとブレてしまう、というお話があった。

振り返ってみると、私の場合、ここでの「コンセプト」の意味を間違えていた。

いろいろ調べるうちに、麹町の由来は「麹」だと言えるのではないかと思えてきて
それを文字の形とうまく結びつけられるのではないか…という考えから
「麹町は麹の町である」というのを「コンセプト」と考えてしまっていた。

が、これは柱にはならない、枝葉(=アイデア)の部分だ。
だから、色々な方向にブレて形がまとまらなかったのだ。

コンセプトは、
「麹町という町名の由来を、麹室の発掘にからめて表現し、時代の流れを表現する」
という部分だった。これなら、ここが軸となってアイデアが広がるし、人にも意見をもらいやすい。


振り返る

「時間旅行」という難しいテーマを、どのような切り口で表現するかが難しく、その解釈の仕方が1つのポイントでした。

自分の作品では、最後まで悩み続け、結局条件を満たせなかったのが一番の反省点。
社会人として、「時間内に、条件にかなうものをとにかく出す」という最低限のハードルは越えたかった。

なぜそれができなかったかと考えると、
フィールドワーク、ディスカッションというプロセスを十分に生かせなかったこと、
さらにその理由には、性格的な問題、考え方のクセがあると思う。

自分が面白いと思ったアイデアがあるとそれに固執してしまう、
他人からの意見に対して身構えてしまう。
そのわりに、注意が散漫になって目的を見失う。
どれも、視野の狭さということに深く関わっている気がします。

いったん視点を変えて、人からはどう見えるのか、視点を相手に移動してみる、
ある意味、読者の眼を疑似体験するためのツールとして、人の意見をとらえれば
視野も広がって、流されることなく、人の意見をうまく「いいとこどり」できるようになるかもしれません。

次回また参加できるなら、目標にしたいことが2つ。

1、時間内に、テーマに沿い、条件を満たしたものを仕上げる。
2、他人の作品やアイデアの1つ1つをしっかり見て、全部に対して自分の意見を持ち、伝える。


1は当然のことなのですが、今回それができていなかったので、まずは基本を押さえたいです。
2は、今回、上位に選ばれた人たちが同じグループや、シャッフルディスカッションをしたグループに集中していて、それは偶然ではないように見えました。
活発なやりとりによってお互いに発展していく場を作る、という意識を持って取り組んでみたいと思います。

たいへん勉強になり、楽しい1日でした。
主催の木村博之先生、講師の皆様、一緒に参加した参加者の皆様、本当にありがとうございました。



※写真は浅野智先生にいただいたものを使用しています。(自分の作品と、ハウス食品の写真は私が撮ったもの)
このブログでは、自分自身の制作をメインにまとめました。
ワークショップ全体の流れは、浅野先生のブログやTwitterのハッシュタグ#infograなどで見られます。

2010年11月25日木曜日

ブログ開始

急な用で、とりあえずブログ作成。
何かを観た感想など、ツイッターで連投したくなったときに使う予定。
つぶやきの延長ぐらいの気持ちで、きらくにいきます。